テレワークで取引先のセキュリティに不安
新型コロナウイルスの感染は年末年始を控えてもますます拡大していますが、ある調査によれば、企業の半数以上がテレワークを実施する上で取引先のセキュリティ対策に不安を感じている状況が浮き彫りとなりました。
この調査を企画したのは企業などのセキュリティを統括する情報処理推進機構(IPA)で、企業のIT管理者や従業員に対してテレワークの実施状況やルールの策定状況、またテレワーク実施に伴う業務委託に関する不安などをたずねたものです。
テレワーク実施企業は全体の約6割
この調査によれば、今年の10月31日時点でテレワーク実施中の企業が約6割(58.9%)にのぼっています。
また、今は実施しておらず今後も実施しない企業が約2割(20.4%)、実施しておらず今後実施予定が3.8%、以前に実施したが現在は実施していない企業が2割弱(19.0%)という結果となっています。
テレワークの開始時期については、4月の緊急事態宣言発令以降が57.3%でした。
WEB会議ツールによりテレワーク頻度も増大
テレワーク時におけるWEB会議ツールの利用は、緊急事態宣言発令前の45.7%から宣言後は77.3%にまで増加しました。
また、テレワークの実施頻度は、週3~4日が26.6%で最も多く、基本的に完全テレワークが25.8%で続き、全体の半数以上が週の半分以上テレワークを実施していることが明らかになりました。
テレワーク中の不安はセキュリティ
テレワーク中のセキュリティの不安について聞いたところ、インシデント発生時の対応方法が分からないとする回答が、テレワーク週2日以下の場合4割以上ありました。
完全テレワーク中の約半数(48.2%)が、セキュリティインシデント発生時にマニュアルが参照できないことなどに不安を感じています。
テレワーク拡大による取引先への不安も
企業活動の変化では、オンライン会議が増えた(52.3%)、テレワークが導入された(37.4%)、また訪問回数が減った(37.1%)という結果となっています。
こうした状況下で、取引先の行動変容に不安があるとした人が全体の74.5%にのぼっています。
主な不安は下記のとおりです。
- コミュニケーションがとりづらい(42.0%)
- 必要なIT知識が急増している(33.3%)
- セキュリティが担保されているか不安(21.8%)
- オンラインでのやりとりからの情報漏えいが心配(20.0%)
取引先へのセキュリティに不安
取引先の行動変容の中でも、テレワークにおけるセキュリティに不安があるとした回答者が過半数(51.0%)となっています。
主なセキュリティ上の不安は次のような項目です。
- 情報漏えい経路が判別しにくい(27.1%)
- 端末のセキュリティ対策が不十分(24.1%)
- テレワーク実施場所のセキュリティ対策が不十分(23.2%)
まとめ
テレワークの増大に伴い、取引先のセキュリティ対策に不安を感じる人が多い状況が明らかになっています。
企業は、外部からの不信感を払拭するためにも、テレワーク時におけるセキュリティ対策の強化が求められます。
参照:IPA