コロナ禍での住宅市場はどうなる?
新型コロナウイルスの感染拡大は、東京など首都圏を中心に再度の緊急事態宣言が予定されるほど逼迫しています。
こうした状況下で、住宅市場は今後どうなっていくのかについて調査・分析した結果があります。
これについて解説していきます。
2020年は住まい選びに大きな変化が
この分析結果は、カーディフ生命が「第2回 生活価値観・住まいに関する意識調査」としてリリースしました。
主な結果サマリーは下記のとおりです。
- 「おうち時間」が長いため、住宅の基本性能が改めて気がかり
- コロナ禍で普及する在宅ワーク
- 駅距離よりも家の広さが欲しい
- たった2畳だけでも個室が欲しい(間取り意識の変化)
- 出掛ける先は遠距離から自宅周辺へとシフト
コロナ下での在宅時間の長期化と在宅勤務の普及が生活に大きな影響を与え、人々の住まい選びも変化しています。
住宅の広さや部屋数へのニーズ、また自宅周辺の環境を重視する傾向が強まり、郊外志向の増加が指摘されています。
テレワークの頻度によって「郊外か都心か」変わる
同社の調査によれば、住宅未購入者全体の住宅購入意向率は35%でしたが、テレワーク経験者に限ると52%とかなり高くなっています。また、購入したい場所は郊外か都心かを聞くと、過半数(約54%)が郊外派で、都心派は約46%でした。
これは、通勤する頻度が高いほど都心を志向し、逆に通勤頻度が低いほど郊外を志向する傾向を示しています。
新築マンションの供給は都市部中心
一方、新築マンションの販売動向をみると、相変わらず都市部への供給が続くとみられます。
ある調査によれば、首都圏では引き続き都区部の大規模案件が市場をけん引し、近畿圏でも大阪市部の超高層物件は2021年も継続する見通しを示しています。
ちなみに、新築マンションの価格をみると、2020年の平均価格は首都圏で6254万円、近畿圏では4249万円と、どちらも前年を上回る結果となっています。
住宅市場は今年も好調維持か
昨年7月以降の東日本での中古マンション・戸建てデータをみると、成約件数は10月以降大幅に上昇し、成約平均価格も上昇しています。一方、新規売出しの物件数は以前より少ないことから、市場の在庫戸数は減少しています。
この状況から、新築マンションの供給数減少の影響もあり、中古住宅市場は好調に推移しているといえます。
コロナ禍による地価への影響についても、ホテルやオフィスなどの商業地で大きく下がっているものの、住宅地の下がり方はそれほど大きくなく、住宅購入意欲も減退していません。
結論としては、今年の住宅市場に出回る戸数や価格などに大きな変動はなく、従来通りの好調な傾向が続くとみられます。
まとめ
今後は、通勤をする人たちは都心部へのアクセスがよいなど利便性がよい住宅を求める一方、テレワークが業務の多くを占める人たちは、住環境の良さと手ごろな価格が得られる郊外の住宅を求める傾向が進むとみられます。
政府もまた、住宅ローン減税を継続し、新たにグリーン住宅ポイント制度が設けられるなど、住宅取を促進策を進めています。住宅ローン金利も低金利が続くと予測され、住宅を購入する環境は整っているといえるでしょう。
参照:カーディフ生命