新型コロナウイルス対策の「本命」として実施されるワクチン接種への期待感や、一部企業の好調な業績などから、日経平均株価がバブル経済期の1990年8月以来30年半ぶりに3万円の大台する活況となっています。
こうした状況から、今年は資産形成への一歩を踏み出す好機だとみられています。
コロナ禍で貯蓄は増加
コロナ禍後、外食を減らした分だけお金が浮き、資産形成の原資が捻出しやすくなるといった状況を多くの人が経験しています。今年はこうした経験則を活かしながら、家計を資産形成体質に変えるチャンスの年だという見方があります。
ある分析によれば、コロナ禍で財布のひもが締まり、外出自粛が続いたことで、外食費や交際費が減少した結果、一般家計の収入は減少傾向が続き、消費支出は昨年3月から7カ月連続で前年同月を下回っています。
この結果、家計貯蓄が増加するという、「意図しない」貯蓄の増加という状況が発生しています。
日経平均株価の復調と資産形成のチャンス
日経平均株価はコロナショックで急落し、昨年3月にはバブル崩壊後の歴史的な最安値を記録しました。その後様々な施策などによって市場は徐々に沈静化し、昨年11月には再び2万7000円台まで回復しました。
そして、今月に入り、ついに3万円の大台にまで上昇しています。こうした状況から、専門家は市民がこれから資産形成をスタートしても決して遅くはないとみています。
その背景として、投資や資産形成への様々な制度整備が進んでいることもその理由として挙げています。
好条件は当面継続
コロナショック下での家計貯蓄の増加はこれまで、主に消費抑制の結果でしたが、一部では資産形成や資産運用を意識した資金の動きもみられると専門家は指摘しています。
その主な理由として、「老後2000万円問題」などの高齢化に伴う生活不安を解消するため、資産形成に取り組み始めた人が多いことを挙げています。また、コロナショックがもたらした社会的な変化も見逃せません。
外出自粛やテレワーク・在宅勤務の普及によって時間的なゆとりができ、将来の資産計画についてじっくり考えたり、口座開設などの手続きをする人が増えたことも背景にあります。
専門家の見方
株式市場は基本的に「期待先行」を示すものです。
専門家は、バブル崩壊への警戒感も視野に入れながらも、こうした状況は当面継続すると予想しています。
現時点で資産形成を始めていない人も少なくない状況ですが、この機会を逸したとあきらめる必要はなく、もともと中長期にわたる資産形成を意図した各種優遇制度を活用して、資産形成を行うことを期待しています。
参照:SankeiBiz