新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下、経済活性化のひとつとして投資が大きく注目されています。
中でも、「ESG投資」の可能性が拡大しているようです。
ESG投資の意味は
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を合わせたものがESGで、通常の株式売買の際に重視される売上や利益といった財務情報だけでなく、この3分野に対する企業の取組み姿勢を重視する投資を意味します。
すでに世界全体で31兆円ドルの資金がESG投資に流れ込んでおり、この流れは今後さらに加速するとみられています。
企業のESGへの取組みが評価の指標
ESGに対する企業の取組みとしては、次の項目が挙げられます。
- E:気候変動や自然破壊への対策、二酸化炭素削減への取組みなど
- S:従業員の適切な労働環境や多様性・柔軟性ある働き方、人権問題への取組みなど
- G:組織内の不正を事前に防ぐ管理体制、独立社外取締役の選任、取締役会の多様性など
EST投資への3つのトリガー
EST投資促進のトリガーとなった大きな出来事が3つ挙げられています。
- 2006年:国連事務総長による責任投資原則(PRI)の提唱
- 2008年:リーマンショックの危機感から、ESGに関心を示す投資家が増加
- 2015年:国連サミットにおけるSDGsの採択により、持続可能な発展目標が大きな社会的テーマに発展
こうした背景を踏まえ、ESG投資の高まりは一時的なトレンドではなく、今後ますます拡大していくとみられています。
投資のポイント
ESTをキーワードに投資する場合、個別株に投資する際には各企業が公表している「統合報告書」が参考となります。
この報告書には、各企業の財務情報だけでなく、ビジョンや今後の展望などの情報記載されているため、ESGに対する考え方や実際の取組みを確認できます。
また、企業の組織図などから、ESG推進室のような組織や機能があるかを確認し、当該組織がCEO直轄の位置付けであれば、企業の本気度が高いと評価できます。
Eの「脱炭素」がキーワード
EST各分野の中で、今後はEの分野、とりわけ「脱炭素」関連の業界が伸びるとみられています。
欧州では、コロナ禍でダメージを受けた経済を環境関連への投資で復興させる「グリーンリカバリー」に注力しています。
米国でも、バイデン新大統領のもと地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定への正式復帰が発表され、環境に配慮した取組みを加速させると考えられます。
まとめ
企業への株式投資の新たな指標として注目されるEST投資ですが、SDGsの流れとも相まって、今後は企業の評価のポイントとして定着していくでしょう。
各企業のESGを意識した活動に期待したいものです。
参照:マネー現代