コロナ禍の女性雇用支援策。 ハローワーク特例措置も

東京五輪・パラリンピック組織委員会の女性登用問題など、ジェンダー平等への意識が高まっています。

一方、新型コロナウイルスの感染に伴い、女性の雇用への影響が深刻になりつつあります。

コロナ禍での「She-cession」問題

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、女性の雇用・所得環境が大きく悪化しています。

こうした状況は日本だけではなく、米国や欧州諸国をはじめ、世界中でコロナショックによる女性への影響は深刻で、She(彼女)とRecession(景気後退)を組み合わせた造語である「She-cession」(女性不況)という言葉も聞かれるようになっています。

女性に対する支援策

こうした状況下、女性が受けられる雇用支援策も様々準備されています。

就労・定着に向けたマッチング支援

ハローワークでは、キャリアコンサルティングや職業訓練のアドバイスなど、女性の就職から職場定着まで一貫した支援を提供しています。

特に子育て中の女性には、マザーズハローワークでワークライフバランスに配慮したマッチングを実施しています。

また、介護分野などの人材不足分野では、職場見学や職場体験の訓練を行い、訓練修了者に対して返済免除付の就労支援金の貸付制度が創設されました。

ハロートレーニングと特例措置

ハロートレーニング(仕事を探す人を対象とした職業訓練制度)を原則無料で受講できます。

受講者にはハローワークや訓練実施機関が積極的に就職を支援しており、一定の要件を満たした場合には、訓練受講中の生活を支援するための基本手当(失業手当)や受講手当、また通所手当などが支給されます。

公共職業訓練の柔軟化

公共職業訓練の特例として、在職者が受講しやすいよう、短期間(1~3カ月)や短時間(月60~100時間)に緩和されたコースやオンライン訓練が促進されています。

新型コロナウイルス感染症対応の休業支援金・給付金

中小企業や大企業で働き、それぞれ一定の環境・条件下で新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が従業員を休業させ、その間休業手当を受け取っていない場合、休業前賃金の8割(日額上限1万1000円)が支給されます。

従業員への対応に尽力する企業への助成金

一方、しっかりと対応している企業には、次のような支援策があります。

雇用調整助成金

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で休業する場合、支払った休業手当を国が助成する「雇用調整助成金」制度があります。

従来の要件を大幅に拡充・緩和しており、1人1日1万5000円を上限額として、労働者へ支払う休業手当のうち最大10/10が助成されます。

新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース

新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた方を、一定期間試行雇用する事業主に対して、賃金の一部を助成します。

この制度で、打撃が大きい飲食サービス業や小売業、また非正規社員として働く女性たちが異なる分野への再就職を円滑に進めていくのに役立てることが可能です。

産業雇用安定助成金

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて事業の一時的な縮小などを行う企業が、人手不足などの企業との間で「在籍型出向」を活用して従業員の雇用を維持しようとする場合、出向元と出向先の双方の事業主に対し、出向に要した賃金や経費の一部を助成するものです。

まとめ

様々な制度や支援が、仕事を探す女性や企業に広く認知され、実際に活用されることにより、女性に対する雇用支援を進めていただきたいものです。

参照:NIKKEI STYLE