新型コロナウイルス感染拡大の影響によって収入が減少したり、また働き方の変化などを背景として、副業としての農業を希望する人が増えているようです。
ある調査によれば、農業で働きたいと希望している人は、今年1月までの1年間で昨年からおよそ10倍にまで急増しています。
農業希望者の多くは若年層・都市部在住者
調査を実施したのは大手人材情報会社のマイナビ社です。調査対象の5割が20代~30代の若年層で、また東京や大阪などの都市部に住む人が目立っています。
農業を希望する主な理由として、同社では、新型コロナウイルスの影響で収入が減少したり、テレワーク・リモートワークが定着して働く場所にこだわらず仕事ができるようになった背景があるとみています。
また、去年農林水産省が開催した農業の仕事を紹介するイベントでも、参加者が前年比で4割増加するなど、農業で働きたいという人が増えている状況です。
農家と就農希望者をつなぐイベントが人気
同社によれば、東京や大阪などで定期的に開催している、各地の農家と就農希望者を結びつけるイベントに、去年から多くの人が訪れるようになったようです。
東京在住のシステムエンジニア(20代男性)は、新型コロナの影響で毎日リモートワークとなり、働く場所にこだわる必要がなくなったため、副業で農業の仕事を探しに来訪したと語っています。
副業やダブルワークが増加している中、まずは農業を試してみるという意味からも、農業が注目されているようです。
副業としての農業ニーズ
新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が大幅に減ったことで、農業を副業として始めた人もいます。
前橋市在住のパート従業員(50代女性)は、午前中は副業として、自宅近くの農園でもパートとして働いています。
両方を併せた収入で生計を維持しており、農業の経験初めてだったものの、働くことが楽しいと感じており、今後も副業として農業を続けていきたいと語っています。
一方、農園側も、収穫期の人手不足の解消などにつながり、助かっている状況のようです。
農業法人も人材育成に注力
こうした動向を踏まえ、農業分野での人材育成に注力している農業法人があります。
山梨県中央市にある農業法人・サラダボウルは、各地で農場を運営し、生産したトマトなどの新鮮な野菜を首都圏のスーパーなどに出荷しています。
同社では、長く勤めてもらうための人材育成に力を入れており、中途採用者に対してはこれまで各自が培った仕事の知識や経験などを、可能な限り活用できる工夫をしています。
定期的に社長や上司との面談の場を設定し、仕事への不安や将来の希望、農業との関わり方などについて意見交換するなど、様々な取り組みを通じて、離職者も減りました。
まとめ
副業で農業を希望する人が増加することで、高齢化や担い手不足といったさまざまな問題が深刻化している農家にとっても、大きな相乗効果が期待されます。
副業という多様な働き方を認めながら、本格的に農業現場に人材を受け入れる取組みに注目したいものです。
参照:NHK NEWS WEB