急増する「ギグワーカー」はトレンドになるか

全く収束の兆しがない新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、失業や休業者数が急増しています。

こうした状況下、ギグワーカー(*)といわれる新たなビジネスが注目されています。

(*)企業などに所属して定常的な仕事をするのではなく、単発もしくは短期間での仕事をする形態。音楽での短時間セッション”Gig”が由来とされる。

ギグワーカー急増の要因とは

ギグワーカーが急増している最大の要因としては、コロナ禍の影響で減少した収入を補填するため、空いた時間を利用して副業などで働く人が増えたことが挙げられます。

専門の研究機関による分析では、米国では就業者の34%にあたる5,500万人が、日本国内でも就業者全体(6676万人:総務省労働力調査)の約2割にあたる1,240万人が、副業や兼業などを通じてギグワーカーとして働いている状況が明らかとなっています。

そして、今後はコロナ禍でこの状況が拡大することは確実だとみられています。

ギグワーカー仲介業者の業績も急拡大

こうした状況に伴い、仕事を求めるギグワーカーと発注企業をつなぐ、仲介事業者の売上げも急増しているようです。

仲介事業者の大手として知られ、今年東証マザーズに上場したココナラ社では、前年同期比で会員登録数は211万人増加し、取引総額も59%増大しています。

その中でも、ここ最近では店舗の設計・デザインや、ビジネスサポート代行、また翻訳や動画編集といった制作ビジネス系事業が倍増している状況です。

注目される分野が拡大

ギグワーカーとして登録者が働く分野は、コロナ禍の初期には、テレワーカーや在宅業務従事者への料理宅配や、物流の倉庫業務などが圧倒的でした。

ところが、ここ最近では、上記のようなネット上でのマッチングプラットフォームを利用して、でコンサルタントや専門技術などの分野から、買い物、掃除、犬の散歩にいたるまで、あらゆる仕事がギグワーカーとして受給かのうとなっています。

ギグワーカーのメリットと課題

コロナ禍で発生した様々な社会・経済環境の中で、ワーカー側は「隙間時間」に自分の特技や経験を活かして収入が得られ、コロナ下での収入減を補うことができます。

一方、企業側からみても、事業の展開を行う上で柔軟に人材確保ができるメリットがあります。

ただし、一見Win-Winにみえる関係ですが、雇用契約もなく、最低賃金や労災保険、また社会保障といった、労働者保護の仕組みは全くありません。

今後、ギグワーカーを活用して社会・経済を活性化させるためには、こうした課題を改善し、安定的な労働市場を確保することが求められます。

参照:日刊ゲンダイDigital