働き方改革や、政府も後押しする副業推進の流れなどに伴い、副業や兼業、また転職を志す人が増えています。
その反面、転職にはリスクや不安も伴うため、なかなか踏み出せない場合も多くあります。こうした状況下、よりよい転職の方法が提唱されています。
「トレンド転職」とは
この方法を提唱しているのは立教大学経営学部の中原教授で、パーソル総合研究所、パーソルキャリアとの共同研究の結果、『働くみんなの必修講義 転職学』という著書で発表しています。
これまでの典型的な転職パターンは、自らの経験を活かして身近な生活圏内にある企業に転職するものでした。ところが最近では、地方移住ブームなどもあり、地方で起業や副業・兼業を志す人が増えています。
トレンド転職の4パターンについて、それぞれのメリットとデメリットを踏まえて解説していきます。
地方転職
地方転職によって、それまで残業に追われて多忙だった生活から、労働時間を短くしてのんびり働けるメリットが生じます。その一方、労働時間が短くなったことで、所得が下がってしまうデメリットもあります。
そもそも、地方企業は都市部の企業と比べて規模が小さく、成長も緩やかなため、相対的に所得が低い構造となっています。
地方転職を志す場合は、収入面の減少について理解・納得した上で進めることが必要です。
ベンチャー転職
ベンチャー転職を志す人に多い動機として、上司を変えたいというものがありますが、実際転職してみると、組織に一体感がない不満を挙げる人も多くいます。
大企業で厳しい上司から逃れてベンチャー企業に転職したら、逆に組織マネジメントが緩くて戸惑ったという事例も多く報告されています。
こうした状況では、むしろ新たな環境を前向きに受け入れ、自分で改善していく気概が必要です。
独立開業
独立開業に惹かれる人の多くは、組織に縛られない自由な働き方を目指します。
その一方、自己規律が難しいため、却って両親や家族などと不和になり、家庭内の空気が冷え切ってしまった例もあります。
周囲に不安を与えないよう、しっかりと自己管理することが求められます。
副業・兼業
所得を増やすために取り組むのが副業・兼業ですが、その反面、取り組みが加速するほどにプライベートな時間が削られていくデメリットが生じます。
副業・兼業で得られた所得アップと、プライベートな時間の犠牲はトレードオフの関係で、バランスを取るのが大変です。自分の健康を害さない程度に、家族にも理解ながら進めるべきです。
まとめ
上記4パターンの転職を経験すると、事前に想像していなかった、想定外の「ポジティブ・サプライズ」を感じている場合が多い様子が同著に示されています。
どのパターンを選択しても、さまざまな情報を収集・分析し、セルフアウェアネス(自己認識)を高めつつ、自分自身にとっての正解をつくり上げることが大切です。
参照:新R25