アフターコロナに求められるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

AI、IoT、5Gなどデジタルテクノロジーの急速な進化により、新しい製品やサービスが続々と生まれ、私たちの生活やライフスタイルにも変化をもたらしています。

さらに新型コロナウィルスの感染拡大や自粛により、社会やビジネス、人々の生活にも影響を与えています。そんな変化の中で注目されるのが「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation」です。

日本では、2018年5月から経済産業省で産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進に向け、「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置しています。さらに、DXレポートやDX推進ガイドラインが発表されるなど、国家でも取り組みが活発化しています。

アフターコロナ時代において、様々なビジネスで「デジタルトランスフォーメーション」はさらに注目されますが、その言葉の意味を理解している方は少ないのではないでしょうか?

本記事では、「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か?」を専門家が解説していきます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の意味とは

ではまず、「デジタルトランスフォーメーション」(DX:Digital Transformation)」について言葉の意味を解説していきます。

デジタルトランスフォーメーションは、英語表記でDigital Transformationであり、略して「DX」と表現されることが多いです。なぜ「X」を使うのかというと英語では「Trans」を「X」と訳す習慣があるためです。

デジタルトランスフォーメーションは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念で、「デジタル技術の浸透によって、人々の生活をより良いものへと変革させること。」です。

デジタイゼーションやデジタライゼーションとの違いは?

「デジタイゼーション(Digitization)」と「デジタライゼーション(Digitalization)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この言葉はデジタルトランスフォーメーションとセットで利用されることが多いため、こちらの違いについても解説いたします。

それぞれの用語についてPwC Japanによれば、「デジタイゼーション(Digitization)」とは、「デジタル技術を用いることで既存の工程の効率化を図ること」と定義しています。これは、これまでできなかったことを可能にしたり、コストの削減付加価値の向上を実現することを意味しています。

ビジネスシーンで使われる「システム化」という言葉も、「デジタル技術を使ってビジネス上の要請や課題を解決すること」を指しており、デジタイゼーションと似た意味で使用されています。

一方、「デジタライゼーション(Digitalization)」は、「デジタル技術を利用してビジネスモデルを変革し、新たな利益や価値を生みだす機会を創出すること」と定義しています。
つまり、「自社および外部環境、ビジネスの戦略も含めた中長期的な視野でプロセス全体を見直し、ビジネスモデル自体を変革して新たな価値を提供すること」を意味しています。

ここまでの3つの言葉の関係をまとめると下記のように整理できます。

3つの関係性のまとめ
デジタイゼーション →デジタル技術を用いた既存工程の効率化
デジタライゼーション →デジタル技術活用によるビジネスモデル変革、新たな利益や価値の創出
デジタルトランスフォーメーション →結果、消費者の生活がより良く変革する

具体例を挙げて分かりやすく解説してみましょう。

CD・DVDレンタルサービスの具体例
▮デジタイゼーション
CD・DVDをWEB上でレンタルできるようにする
▮デジタライゼーション
CD・DVDそのものを借りる工程がなくなり、オンライン上で視聴できる仕組みが生まれる
▮デジタルトランスフォーメーション
オンライン上で映画や動画、オリジナルコンテンツが無料あるいは定額制で視聴できる仕組みが生まれ、世界の人々がいつでもどこでもコンテンツにアクセスするようになる

CD・DVDというモノをデジタル化するのが「デジタイゼーション」で、オンライン上で視聴するというプロセスを含めたデジタル化が「デジタライゼーション」となります。その結果、オンライン上でコンテンツを視聴するという消費者の生活の変革をもらたすものが「デジタルトランスフォーメーション」であると考えていただくと分かりやすいと思います。

参照:デジタルトランスフォーメーションの全体像と日本企業のチャレンジ

新型コロナで明るみになったDXの遅れ

新型コロナウィルスの影響による緊急事態宣言に伴い、政府はテレワークや在宅勤務を推奨しました。厚生労働省とLINEが共同で行った調査によれば、全国でテレワークの導入は27%と、政府目標の「7割」には届いていない結果となっています。早期にテレワークに移行できた企業がいた一方で、会議だけオンライン化、あるいはテレワーク移行がほとんど進まなかった企業が多くいたようです。

製造ラインの工場や建設現場、店頭販売による接客などテレワーク導入が困難な業務を行う方々にとっては、テレワークを全面的に対応できないかもしれません。しかし、紙の請求書の郵送や、契約書の捺印、日報の入力などのオフィスワークがデジタル化されず、全面的なテレワークに移行できない企業も少なくありません。

これらは、既存のシステムやデジタル技術、インターネットやクラウド活用によって解決できることが多く、企業内の人事システム(労務、評価制度)や情報システムの導入承認プロセスが整っていないことが問題と言えます。企業は、DX推進に向けて環境整備するための「企業内変革」が求められるようになります。

参照:第4回「新型コロナ対策のための全国調査」

アフターコロナ時代にDXが不可欠な理由

緊急事態宣言によって、テレワーク導入後も出社時と同等の仕事ができている企業と、環境が整わず自宅待機や特別有給で対応した企業もあるようです。デジタル化の遅れによって、両者に生産性や対応力に差が生まれることは自明でしょう。もし同業種で差が生まれているとすれば、競争優位にも差がでてきます。

仮に同じ商材だとしても、ネットのみで販売を行っている企業と、リアル店舗を主体に販売を行っている店舗では、売上に与えるインパクトは大きいと言えます。もし店舗が閉店するという状況でもネットにシフトできる企業とそうでない企業ではビジネスへの対応力が異なります。アフターコロナ時代という先行きが不透明な状況かつオンラインが主流となる社会の中、企業の存続にはデジタルトランスフォーメーション(DX)が重要であるといっても過言ではないのです。

企業に迫る「2025年の崖」

デジタルトランスフォーメーション(DX)が重要であるということを理解していても、企業内変革やビジネス全体を変革することは容易ではありません。そのため、デジタルトランスフォーメーションに本格的に踏み出せているのは一部の先進企業のみという状況です。

2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」では、2025年を節目に日本企業は以下のような多くの問題に迫られると警鐘を鳴らします。

・DXの遅れによる競争脱落
・システム維持管理費の高額化
・サイバーセキュリティやシステムトラブル等のリスク上昇
・最先端のテクノロジーを担うIT人材不足
・業務基盤そのものの維持、継承の難航

この問題に対してレポートでは、「2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要がある」と強調していますが、アフターコロナ時代においては、企業全体がより早いスピードでデジタル化を推進しなければ、生存競争から脱落してしまう可能性が高いと言えます。

参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~/経済産業省

DX推進に向けたシステム刷新の課題と対応策

DXを推進するためにはシステム刷新を集中的に推進する必要があるもの、具体的にどんな対応が必要なのか分からないという企業に対して、「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」に具体例が示されています。

<DXを実行する上での現状課題>
・既存システムの問題点の把握、克服について経営層の構想力不足
・既存システム刷新における各関係者の任務遂行力が不足
・既存システム刷新の長期化によるコスト増、経営リスク
・ユーザ企業、ベンダー等の新規関係構築の必要性
・DX人材の不足

<対応策>
1.現状の「見える化」指標の策定、中立的で簡易な診断スキームの構築
2.体制のあり方や実行プロセスを示した「DX推進システムガイドライン」の策定
3.DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策
4.ユーザ企業・ベンダー企業間の新たな関係構築
5.DX人材の育成・確保

具体例で分かるようにDX推進に必要なシステム刷新は、企業全体として取り組むべきものでありますが、経営層がデジタル化に対してコミットして推進することが求められます。

参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~/経済産業省

デジタルトランスフォーメーション(DX)まとめ

デジタルトランスフォーメーションに関して、言葉の意味や必要とされる理由について解説してきました。

デジタルトランスフォーメーションの言葉の意味は、「デジタル技術の浸透によって、人々の生活をより良いものへと変革させること」でした。

そしてアフターコロナ時代においては、経営層がデジタル推進にコミットして、企業全体でより早いスピードでデジタルトランスフォーメーションすることが求められていきます。

既存システムが刷新できず市場の変化に取り残されてしまうのか、最新のテクノロジーやデジタル技術の進歩とともに、自社組織やサービス、ビジネスモデルの変革を行うのか、企業にとっての分岐点になることでしょう。

デジタルトランスフォーメーションの推進にお困りの経営者や企業担当者様へ

「リモフリ」を運営する株式会社MOCHIは、デジタルトランスフォーメーション推進課題の一つである「デジタル人材」の採用支援(採用戦略立案、人材要件設定、母集団形成、面接官育成までワンストップ)、テレワーク活用に向けた人事制度変革などのコンサルティングなどを行っております。デジタルトランスフォーメーション推進に関するお問い合わせ・ご相談は下記からお気軽にお申込みください。

記事監修:染谷祐吏(yuri someya)
一部上場企業のデジタルマ―ケティング責任者としてデジタルトランスフォーメーション推進や新規事業開発に従事。業務支援コンサル、ベンチャー企業の戦略人事を経て2019年にデジタル人材特化型のエージェントとして株式会社MOCHIを設立。テレワーク×DXの課題解決として「リモフリ」を立ち上げ。