管理職ナシ、オフィスは仮想!?リモートで究極の組織づくりを実現させた方法とは

外部ツールを最大限活用して即時に全社員のリモートワークを実現させ、さらに個の自由な働き方と組織としての一体感も共存させているのが株式会社アジャイルウェア。

テレワークや在宅勤務を導入する際の「組織づくり」にどんな工夫をしたのか、代表取締役CEOの川端光義(かわばた みつよし)さんにその秘密に迫ります。

目次

完全リモート勤務を導入してわかった、思いがけないメリットとは?

Q.リモートワークを導入された経緯を教えてください。

―実は、2012年の設立当初から申告不要で在宅勤務ができる体制で、制限していたのは事務くらいでした。新型コロナウイルスの感染防止のため2月25日から全社員の在宅勤務を開始しました。

※在宅ワーク移行の経緯

Q.当初から在宅勤務をしている方は多かったのですか?

―個人の作業タスクが多く、生産性が高い人はフルリモートもOKということにしていました。

やはり在宅だとチームでやる仕事などは、コミュニケーション面での課題が大きく、生産性に支障がでるだろうと思って「週3日まで」という形にしていました。そもそも家庭環境や生活サイクル、働きやすさは一人ひとり違うので、パフォーマンスが最大限発揮できるように自由に働ける環境を作ってきました

Q.リモートワークを念頭に入れて、コミュニケーションや情報共有で工夫されていたところはありますか?

―リモート・在宅関係なく、コミュニケーションや情報共有ツールとして常時「Slack」というチャットを利用しています。

今回、全社的に在宅勤務にする決定も、すべてチャットで伝えてスタートさせました。また、業務面では「Lychee Redmine」を使って、進捗や個々の業務状況の可視化をしてリアルタイムで共有しています。

Q.勤怠管理はどう管理されていたのですか?

―以前は、何時間働いたかを自己申告してもらっていました。今はクラウドのkincone(キンコン)を使っています

前提としてフルフレックスなのであまり稼働時刻にはこだわっていなくて、何時に働いてもいいんです。人によっては、夕方から夜中という人もいます。それぞれのライフスタイルにあわせて働くという、会社のポリシーにのっとってやっています。

※アジャイルウェアが掲げているポリシー

Q.完全在宅勤務に移行したことで、何か問題や課題は出てきましましたか?

コミュニケーションの課題がありました。例えば、前の会議が終わっているのか、今話しかけてもいいのかわからないとか、ちょっとした会話なのにZoomを立ち上げるのが手間でチャット数が以前と比べて増加したんです。これについては、バーチャルな仮想オフィスを導入して解消されてきました

※実際の仮想オフィスの様子

それぞれが何をしているのか、今どういう状態なのかがすぐにわかるので、話しかけやすくなりました。

東京オフィスや外出が多い営業メンバーとは以前よりもむしろ距離が縮まりましたし、実は大阪のオフィスもフロアが分かれていたので、それぞれの動きがよりわかりやすくなりました。これはリモートならではの良さですね

この先、コロナが収束して出社するスタイルになったとしても、仮想オフィスは続けると思います。

Q.この仮想オフィスは、いつ頃からどのように導入していったのですか?

4月6日にトライアルを始めて、4月13日から本格導入しました。こうしたツールを最初にみつけてきてくれるのは、すべて社員なんです。

ラフに「こんなのがありますよ」と情報共有してくれて。「じゃあ面白そうだ、やってみよう」と。何かを導入するにあたって「とりあえず試してみよう&やってみよう」というのが企業文化なので、実際やってみて最適なものを選ぶというスタンスですね。

Q.使い方や運用法などの説明はされたのですか?

―特にマニュアルなどの整備や説明会などはせず、1日やってみたらみんな簡単に使えました。比較的ITリテラシーが低い人でも、すんなり取り入れていましたね。
毎週月曜に全社ミーティングを開催していて、そこで社員同士が色々意見を話し合うんですが、その場で「すぐ始めよう」となりました。

フラットな組織にしているので、何かを始めるとなっても誰もが課題を発言できて、異論が出なければみんなが納得して進められています

管理職も上司もいない!『人事の常識』を覆した組織づくり

Q.フラットな組織作りのために、意識して取り組んでいることはありますか?

―僕自身がもともとエンジニアで、会社を作るときから上下関係を作りたくなかったんです。なので、管理職を作らないようにしています。専門職が適材適所いるという形にしていて、そこに上下の関係はありません。

どうしても私自身が代表ということで上の立場になってしまうのですが、「社長と呼ぶな」と言っています(笑)。私以外はみんなフラットなんです。

※ミーティング風景

Q.管理職や上司が不在で、人事評価はどのように行うのですか?

相対評価でやっています。今年なり直近までやってきた成果をアウトプットして見える化させて、それを人事面談で報告してもらいます。面談は、その人の業務がきちんとわかっている人間が入って、意見をして、全体を見て評価をしています。

同じチームの中で、あの人はここまでだけど、この人はここまでやっていると、単純に品質やスピードで考えて評価し合います。まだ360度評価とまではいってないですが、同じ視点で評価し合うという共有文化にはなっていますね。

Q.自由な環境下で、会社への帰属意識が薄れてしまうという懸念はありませんか?

―そこは、私としては結構「自由」なんです。本人の生き方の自由なので、帰属意識をより高めようとすること自体、会社が圧迫するのはおかしいなと。

例えば、エンジニアはローテーションが多い職種です。3年もいたらもう辞める、みたいな。でも、なにも束縛しないし副業もOKですし、結果的に居心地が良くて、なんやかんや最近は離職する人がほぼいない状態です。

あとはフラットにコミュニケーションができる関係性なので、お互い密にやり取りをしていていて、そこで仲間意識は芽生えているように感じますね。

以前のものは使わない!リモートワークに重要な土台づくりとは

Q.スムーズなリモートワーク移行を実現するために重要なことは何でしょうか?

新しいものに取り組む時は前のやり方を残さず「もう以前のものは使わない!」と決意することです。他の会社さんでよく聞くのが、慣れているツールややり方を好んでしまい、新しいものと併用してしまう状況です。

※休み申請もチャットに投稿するだけ

例えば、チャットサービスに切り替えようとしても、もともとメール文化があるからとそれも残してしまうことがあります。特に管理職以上など年代が上の人はメールを使っていて、若い人だけがどんどんチャットを使っていて新しいツールが全社に広まらない、ということが起きてしまうんです。

弊社の場合だと、チャットに切り替えるとなったら「メールはやめよう」と発信して、もしまだメールを使っている人がいたら「なんでまだ使ってるの?」というくらいにしています。そうなるとみんな慣れていくので、しっかり切り替えてしまうことが大事です。

Q.個人の自由と組織のルール、バランスはどうするのか?

―もし、ある個人が「コレがいい」と勝手に使ってたら、なぜそれがいいのかを話し合って、より良いものに変更していきますね。チームとして話し合って、同意を得ていくプロセスです。個人でいいものを見つけたらどんどん試してほしいです。

Q.リモートワーク導入にあたってインフラや制度で取り入れたものなどはありますか?

―ネットワーク環境は個人で整っていた状態だったので、リモートワーク環境改善手当として2万円の補助と、全員にサブディスプレイ支給などをしています。

また、光熱費がかかると思いリモートワーク光熱費(300円/1日)として手当てを出すことにしました。そのほかにも、リモート懇親会手当やおやつは1日200円まで!手当など、社員からの声を聞き都度、福利厚生を見直しています。

※飲み物も飲み放題、糖質無制限のお菓子も食べ放題のオフィス

オフィスでも光熱費はかかりますし、おやつも食べ放題だったので、その分をそのまま充てているというだけですね。なるべくオフィスと同じ環境に近づけたいという想いでやっています。

※ユニークで独自性のある様々な福利厚生

Q.具体的なツールや仕組みの部分では、何かありますか?

テレワークでも認識齟齬をなくすためには「いつ・だれが・なにをやっているか」やタスク内容の把握も必須です。そういうところは、自社のプロジェクト管理ツール「Lychee Redmine」を使って、お互いの進捗はしっかりと把握できるようになっています。

この自社ツールで社員のタスク管理や会社全体の動きも管理しているので、正直「Lychee Redmine」がないとここまで長期間の全社員完全在宅勤務は難しかったかもしれません。

また、外部ツールもかなり積極的に利用していて、現在20以上は使っていますね。特に、ビジョンや目標共有は、オンラインになって意識していかなきゃなと感じた部分です。

あとは、会議内容のリアルタイム共有にも重要性を感じていて弊社のWeb議事録サービス「GIJI」が大活躍しています。オンライン会議だと電波の関係で接続が悪くなり会議内容が抜けてしまう聞き漏れるといったことも少なくないのですが、会議時のPC不具合も怖くないですね。

※アジャイルウェアが導入しているツール一覧

リモートワーク導入で見えた社員の変化と新たな課題

Q.リモートワーク導入のメリットは?

―メリットのひとつは、地方の商談がやりやすくなったことです。物理的に行きにくい場所でもWeb上で簡単に話せるようになったことは大きいと感じています。自社セミナーもオンラインでやりやすくなりました。

社内的には、通勤時間の無駄が減って働きやすさは高まったと思います。やはり、家族の時間が増えたという声が上がっていますね。奥さんや子供との時間が増えて、家の事も一緒にやるようになって、より仲良くなったと。
ただ、これについて奥さん側のほうからは「ずっと家にいられて困る」という意見もあったり、男女で意見が分かれています(笑)

また、ペットと触れ合えるようになってストレスが減った、という意見も多かったです。

在宅勤務の開始直後は、自宅の設備面などで不満の声もありましたが、各種手当の支給や福利厚生の見直しにより、現在ではほぼ全社員が完全在宅勤務前と同じような働き方ができているようです。

Q.社員の意見はどうやってヒアリングしていますか?

毎週の全社MTGで、社員の意見を吸い上げるようにしています。今回のリモートワークについては、開始3週間後に1度アンケートを取りました。その内容とミーティングでの意見を照らし合わせながら、逐一出てきている課題を解決しています。

他には、四半期に1回程度、社員満足度を測るためのwevoxというツールを使っています

Q.在宅勤務による本社の縮小や移転などは、今後検討されていますか?

―近いうちに、東京のオフィスは解約予定です。営業の割合が多くて、元々常駐している人もいなかったので、コワーキングスペースに切り替えようと思っています。

大阪の本社は在宅勤務疲れを感じている社員もおり、9月から自由出社制にしたので全員が出社することはありません。自由出社制に関しては「働きやすい環境は社員一人ひとり違う」ということで対策を万全にした上で勤務場所を好きに選択できるようにしました

なのでカフェやコワーキングスペースを利用する社員もいます。もちろん、勤務場所によってカフェ代の実費精算などさまざまな補助も行います。
ただ、今後も社員が増えていく場合は手狭になるので、移転は随時検討です。

Q.コミュニケーションの改善を行っても残る課題とは?

完全在宅勤務が始まってから、改めて雑談や飲み会の大事さを感じました

これまでは月1回なんらかの歓送迎会があって、ほとんど全員が参加していました。ただ、在宅だと生活と密接している分、なかなか参加することが難しい社員も多くいます。

誕生日の社員を祝うランチ会も手当を出してオンラインで行ったり、オンライン飲み会もやっていますが、リアルには勝てないという印象を受けます。やはり仮想オフィス導入でも雑談はなかなかできませんし、

今も、コロナ禍で入社した社員が4人ほどいまして、オンラインでの歓迎会はしたのですが、対面ではまだ会っていないんです。やはり入社すぐの場合も、オンラインだけだとキャッチアップが難しいと感じています。

※オンライン懇親会の様子

Q.今後の半年~1年後について、考えている取り組みはありますか?

―実は社員の完全在宅勤務が決定してから、自社製品のプラン変更を行って、今まではなかった「フリープラン」を作りました

どんどん新型コロナウイルスが感染拡大していき経済が止まっていく中、リモートワークを取り入れる企業や仕組み的に二の足を踏む企業の後押しとなれればと思っています。

4月1日に開始してから、すでに700社以上から申し込みを受けていて需要の高さを感じるので、更に力を入れていきたいですね。

社内的には、ずっと自宅だと社員の健康面も心配になってきます。働く場所の選択肢を増やしたとはいえ、産業医やケアしてくれる第三者との連携やフォローアップが必要だと考えているところです。

また、コミュニケーションの課題も完全になくなるわけではないので、今後の状況をみながら、現在の自由出社制からチーム毎に指定された曜日だけ出社する「部分出社制」も検討しています。

さらに、リモートワークによって会社のビジョンが伝わりにくくなっている状況も踏まえ、弊社ではOKRを本格的に取り入れました。「フラットで自由だけど、各チームのビジョンが共有できていて、そこに向かって各自が動いていく」ことがリモートワークでも発揮できるよう継続していきます。

コミュニケーションの小さな改善が、風通しの良い組織への改革につながる

Q.リモートワーク導入を考えている経営者、担当者の方に、ヒントを教えてください。

―リモートでは同じ空間にいない分、やはりコミュニケーションの取り方が重要になってきます。そのために、チャットは絶対に取り入れたほうがいいと思いますね。

リアルだと、組織のなかで声の大きい人(立場が強い人)の意見が強くなってしまいがちですが、チャットの世界では、営業もエンジニアもマネジャーも関係なく、全員が対等に発言できる場になっています。

あとは、しっかりと誰が今、何をやっているかがチーム内で把握できたり、業務のスケジュールを組めたり、タスクをしっかり個々人に落とし込めるツールを利用することでしょうか。常日頃からそのような業務フローが見えていれば生産性UPにも繋がるので。
その点、弊社の「Lychee Redmine」はぜひ取り入れていただきたいツールのひとつです。


「新しいものに取り組むと決めたら、中途半端に昔のものにこだわらない」
こうした考えは、新たな仕組みやルールを取り入れる際に、とても大切な姿勢ではないでしょうか。少々耳が痛いと感じる方も多いかもしれません。
慣れたものが使いやすく、これまで通りが居心地が良いのは当然。ですが、世の中が大きく変わり、働き方の変化が問われる今、企業には大きく舵を切る大胆さも必要ではないかと思います。


<今回インタビューした企業>
株式会社アジャイルウェア(https://agileware.jp/

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