自治体の書類電子化はわずか1割
テレワークやリモートワークが浸透する中、仕事の効率を低下させる代名詞として挙げられるのが「はんこ」です。かねてから電子署名への移行が議論されていますが、押印を要件とする手続きは多種多様で、一気には進められないのが現状です。
事実、民間の調査(*)によれば業務上の申請が電子化されているという回答は12.8%に留まっています。
(*)企業文書の電子化を支援するペーパーロジック社が本年5月に全国の自治体職員111人を対象に実施した調査
テレワーク上の悪役「はんこ」
上記調査(昨年11月実施分)では、首都圏に勤務する人の大多数(82%)が「はんこ決裁で仕事の進みが遅くなる」と回答し、在宅勤務中にわざわざ押印だけのために出社するケースも問題視されており、はんこ廃止の流れが強まっています。
一方、財政やマンパワーに限りのある地方自治体では、はんこ廃止がいつ実現するのかは見通せない状況で、企業が許認可申請のため紙に押印する作業が軽減される状況は見通せず、社内文書の電子化も途上という企業は少なくない状況です。
新政権は電子署名を推進
こうした状況を改善するため、先日発足した菅義偉内閣は中央省庁でのはんこ廃止を強力に進めており、9割超を廃止できる見通しを示しています。河野太郎行政改革担当相も同施策を強力に推進しており、年内に政省令改正を進めて関連法案を来年の国会に提出する方向です。
また、政府関係機関である規制改革推進会議でも企業の生産性を高めるため、商取引での押印や書面の削減に取り組むこととしています。
はんこロボで課題解決へ
政府の取り組みも追い風に、書類を1枚1枚めくって押印できるロボットが登場しました。アームの先端にセットされたはんこを朱肉に押しつけ、滑らかな動きで押印します。処理した書類はアームや定規のような道具を使ってめくり、次の書類をセットします。
開発したのは産業用ロボットメーカー・デンソーウェーブで、商品名は「COBOTTA」です。日立キャピタル社と日立システムズ社がプログラム作成などで協力しています。
簡単なセットで利用可能
この製品では、人間が目を通し押印してもよいと確認した書類を、まとめてロボットにセットすることを想定しています。大量の書類がある場合など、昼休み前や帰りがけにセットしておけば、午後一番や翌日の始業前に作業が終わっているというわけです。
高い性能と精密なスペック
同製品は一般的なオフィスのデスクに置けるサイズで、重さは約4kgです。ロボットアーム、カメラ、スキャナーなどを備えており、とじた書類のページを繰って表面に光線を走らせて読み取り、データ保存することも可能となっています。
デンソーウェーブ社情報など参照。