首都圏の中古住宅が爆発的に売れてる3つの理由

首都圏の中古住宅販売が絶好調

新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってテレワーク需要も増大し、この状況は特に都内近郊や湾岸エリアなどで顕著となっています。

この状況下、首都圏の中古住宅がマンション、戸建てともに絶好調と言っていいほどの高水準で売れています。

東日本不動産流通機構によれば、今年10月の首都圏での中古マンション販売は前年同月比で31.2%増加し、中古戸建ても同41.8%増加しています。いずれも1990年に同機構が発足以来最高の増加率となっています。

価格要因と好調エリア

この状況を分析すると、まずは価格面が考えられます。中古戸建ては前年比-1.2%、中古マンションは+4.8%となっており、この30年間で最大の増加幅を示した割には価格への上昇圧力は弱い状況です。

次にエリアをみると、中古マンションで上昇率が高いのは東京都全域と、神奈川県の横浜と川崎です。また中古戸建てでは横浜と川崎が圧倒的で、あとは東京23区内と千葉がやや高い状況です。

絶好調の主な特殊要因3つ

中古住宅販売が絶好調である主な理由は下記の3点が挙げられます。

テレワーク需要の拡大

これについては上述したとおりの現象であり、特に都内近郊や湾岸エリアなどで目立っています。

ローン審査駆け込み需要

今年中に住宅ローンを借りると、借入れ条件や可否については2019年の年収で審査されます。ところが、今年になってコロナ禍などで残業やボーナス減で年収を下げた人が来年になって住宅を買う場合は、今年の年収で審査されることになります。

このため、借入れ額が減る可能性があると考えた人が今すぐ買える中古住宅を買っている状況がみられます。

そして、年収が減少しそうなサラリーマンが現在住んでいる賃貸住宅は都心近郊エリアが多いため、横浜や川崎、都内23区内での購入が進んだものとみられます。

脱出需要

新型コロナウイルスは、高血圧や糖尿病といった基礎疾患のない50代までは感染後のリスクが少ないといわれています。しかし、60代以上の高齢者が感染すると、場合によっては命にかかわる重篤性が指摘されています。

特に、都心のように人口密度の高いところに住んでいる高齢者は心配です。

このため、資金に余裕のある老齢の富裕層が避難先として郊外に住宅を購入した可能性もあります。郊外で高値の広い戸建てやマンションが買われている背景として、こうした要因も考えられます。

まとめ

今年10月以降に発生している都心や近郊地域での中古住宅の爆発的な需要増は、不動産ブームやバブルではなく、コロナ禍を背景とした特殊事情が背景にあることがうかがえます。

今後の動向に注目したいところです。

参照:東日本不動産流通機構