国内パソコン出荷170%増。コロナ禍でノートが好調

新型コロナウイルス感染拡大によるテレワーク需要の促進や、全国の児童生徒への1人1台のパソコン整備計画が本格化したことなどを背景に、パソコン需要が増大しています。

コロナ禍でパソコン需要が増大

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の調査によれば、昨年一年間の国内でのパソコン出荷実績は、前年比7.4%増の1,045万5,000台となりました。

12月単月の出荷実績をみると、前年同月比で約1.7倍増の161万3,000台で、またノートパソコンの構成比は92.4%、出荷台数も前年同月比約2.2倍と、過去最高になっています。

パソコン需要は急激に変化

ここ1年間の国内パソコン需要の推移を分析します。

2020年1月~3月まで

この時期は、Windows7のサポート終了に伴う買い替え需要が顕在化し、消費増税前の駆け込み需要なども影響して、15カ月連続で台数、金額とも2桁成長を遂げていました。

その一方、2月以降はこうした特需の反動からパソコン市場の低迷が予測されており、実際に2020年2月は前年同月比20.4%減、3月は22.6%減となっていました。

4月~9月

コロナ禍により、4月7日から緊急事態宣言が発出されるとともに、政府は出勤者数を7割減らしてテレワークを導入することを企業などに要請しました。

その結果、個人向けパソコンを中心として需要は3カ月ぶりにプラスに転じ、パソコン市場全体でも5.3%増に回復しました。

その後、5月~8月はレワーク需要の下支えにより、個人向け需要が前年実績を上回るかたちで堅調でした。

そして9月になると、一気に前年同月比25.7%増と、大幅な成長を遂げました。

GIGAスクール構想

この時期に、GIGAスクール構想(*)による需要が顕在化しました。
(*)児童生徒向けに1人1台の端末を普及させるなどの構想(Global and Innovation Gateway for All)

GIGAスクール構想でWindows搭載ノートパソコン、Chromebook、iPadの導入が推奨され、ノートパソコンの構成比を一気に引き上げる要因となりました。

10月~12月

10月以降もその動きが持続し、12月には前述したように前年同月比67.6%増という高い成長率を達成しました。

12月としては過去最高の出荷台数であり、ノートパソコンの構成比も92.4%と、過去最高の構成比となりました。

ノートパソコンだけをみると前年同月比116.2%増の149万台で、約2.2倍も出荷台数が増加したことになります。

デスクトップは低迷

その一方、デスクトップパソコンの需要は低迷しています。

2020年におけるデスクトップパソコンの出荷台数は41.5%減の151万1,000台に留まりました。

デスクトップパソコンはGIGAスクール構想による特需やテレワーク需要の恩恵を受けなかったことが大きな要因です。

裏返せば、デスクトップパソコンの出荷実績が、上記のような特需を含まないパソコン市場全体の適正値ともいえます。

参照:JEITA