新型コロナの感染拡大に伴ってテレワークが普及していますが、これに伴うセキュリティ対策や就業規則の改訂など、企業は対応に追われています。
厚生労働省が公表しているガイドラインに基づき、テレワークでの様々な注意点について解説していきます。
テレワークの実施手順
テレワークをうまく展開するためには、いきなり全員一律に実施するのではなく、対象となる社員や業務分野を絞り込み、その後徐々に対象範囲を広げていくことが重要です。
テレワーク実施に向けて検討
厚労省のガイドラインによれば、まずはテレワークでもできる業務の切り出しの検討から始めます。仕事のやり方を工夫し、ITツールを活用することで、業務の範囲が広がる可能性もあるからです。
まずは、テレワーク従事者が今すぐにできる業務、今はできない業務、そして今後も難しい業務などに分類します。
該当者に対しては、予定される業務内容だけでなく、本人の希望も聞きながら対応することが重要です。
また、制度としてパソコン本体や周辺機器、通信費や光熱費、文具消耗品や郵送用切手など、会社側での費用負担についてあらかじめ労使でしっかりと確認しておく必要があります。
セキュリティのチェック
テレワークを始めると、会社のパソコンや顧客データなど、どうしても機密情報を社外に持ち出す必要が出てきます。
このため、社員に貸与するパソコンの盗難や紛失、またウイルスなどに対するセキュリティ対策が重要となります。
ある調査によれば、テレワークを実施する取引先のセキュリティ対策に不安を感じる企業が全体の5割以上に上っている結果も示されており、実際に取引先や海外子会社経由で情報流出してしまった事例も多数報告されています。
労務管理上のルール確認
テレワーク中でも、当然ながら企業には社員がオフィス勤務のときと同じように、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法などといった法令順守が責務です。
テレワークに伴い、通信費の見直しやフレックスタイム制など、新たな制度を取り入れる場合は、就業規則を変更する必要があります。
就業規則の変更が必要となるのは、テレワークの定義(労働条件の明示)、労働時間に関する規程、通信費などの負担に関する規程、在宅勤務命令に関する規程などです。
細かい規定などについては、専門家と相談しながら進めることが大切です。
作業環境のチェック
温度や湿度、照明、机・イスなど、従業員が作業しやすい環境で仕事をできる環境を整えることが大切です。
メンタルヘルスにも注意
テレワークによる、運動不足や集中力低下、孤独感などに伴い、メンタルヘルス上でも不調を訴える従事者が多く、大きな課題として取り上げられています。
こうした点についても、企業はあらかじめ対策を講じる必要があります。
参照:厚生労働省