「NFT」の波に乗る。今さら聞けない、仮想通貨ブームの“基礎知識”

今年に入り、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)」など、急速に盛り上がっている仮想通貨(暗号資産)業界です。

一方、様々な誤解や偏見も多く、日本で仮想通貨ビジネスを発展させるには大きな障壁もありますが、今回は仮想通貨の基礎知識について解説していきます。

NFTの週間取引量はピークで約200億円

ネット上で話題となっているNFTというバズワードですが、これはブロックチェーン技術を使ったデジタル資産の一種を意味します。

貨幣として使えるビットコインなどの仮想通貨と異なり、発行されたデータは唯一無二の存在で、分割したり定価値で交換することができません。

あるデジタルデータをNFT化すれば、ブロックチェーン上に記載できる証明書としても使えます。

こうした特徴がデジタルアートやゲームの世界で活用できるため、大きな脚光を浴びました。

有力仮想通貨メディアによれば、NFTの週間取引量は、今年2月21日のピーク時には約1億9640万ドル(約200億円)を超えました。

NFTバブルは崩壊?

一方、同メディアによれば、NFTの週間取引量は3月中旬頃から急降下しており、多くの専門機関が警戒を呼びかけている状況です。

事実、NFTには課題も多く、偽造不可能な鑑定書として使える一方、例えば音源やアートそのものに対するコピーを直接防げるわけではありません。

また、鑑定書だけが残っても、データ自体が使えなる可能性もあります。コレクターズアイテムとして大きなメリットがあるNFTですが、欠陥も認識する必要があります。

日本版NFTの強み

こうした懸念の中、日本でのNFTに対する可能性は大きく期待されています。

国内ネット企業がNFTマーケットプレイス(NFTを売買できるプラットフォーム)へ参入し、3月には仮想通貨取引所のコインチェックがNFTマーケットプレイス・Coincheck NFT(β版)を開始しました。

その後、メルカリがブロックチェーン関連の子会社・メルコインの設立を、GMOもNFT事業への参入を発表しました。

国内ゲーム大手のスクウェア・エニックスも同市場への参入を発表し、今年の夏にはカードゲームRPG・ミリオンアーサーのNFTデジタルシールの発売を予定しています。

海外でも人気の高いゲームやアニメ、マンガなどを数多く有する日本は今後、世界でもNFT市場の中心となる可能性を持っています。

日本の厳格な管理体制

日本は世界でも人気を誇るエンタメコンテンツを多数保有しているので、NFTの高まりは日本にとっての追い風になるといわれています。

一方、金融庁の主導で設立された、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)による、厳格な規制と膨大な手続きが問題となっています。

JVCEAは、過去の仮想通貨事業者に関する不正アクセス事件などを契機に、全ての仮想通貨事業者に対して、リスク管理や内部管理態勢におけるガバナンス審査・監督のため設立され、同組織管理の下、現在30社が仮想通貨ビジネスを運営しています。

アメリカの規制は原則ベース

アメリカの規制当局(米国証券取引委員会など)と比較すると、日本ではNFTのような新しいサービスを生み育てるためには、構造的な問題があります。

アメリカでは、法律は原則(プリンシプル)ベースと呼ばれ、新しいサービスが登場した際には、詐欺やマネーロンダリングの疑いがないか、リトマス試験紙のイメージでチェックし、問題なければモグラ叩きのような個別の規制はしないのが基本スタンスです。

その一方、日本では仮想通貨取引所だけでなく、全てのサービスがJVCEAの審査を通過しなければ運用できません。

NFTやDeX(分散型取引所)のような新規サービスを迅速に拡大するためには、アメリカの規制方針の方がうまく機能するという見方があります。

金融庁は「トラブル多数」呼びかけ

金融庁や警察庁、また消費者庁は、仮想通貨に関するトラブルの急増に配慮し、連名で注意を呼びかけました。

仮想通貨は価格が急落し、損をする可能性があること、また、関連する詐欺被害が多発していることなどを警告しています。

投資家の保護と、ブロックチェーンという新たな市場でのイノベーション促進という、いわばブレーキとアクセルをうまく操縦していくことが、今後の課題といえるでしょう。

参照:BUSINESS INSIDER