テレワーク人材育成で気を付けたい2つのポイント

コロナ禍や働き方改革の影響などによってテレワークが普及していますが、その一方、多くの企業がテレワークで人材を育成することの難しさを実感しています。

こうした状況下、テレワークで部下を育成するポイントについて解説していきます。

2つの“自己○○感”とは

部下を育成する上で、大切なポイントとなる2つの項目があります。

自己効力感:部下が前向きに感じる意識

人材を育成する際のキーワードとして、「自己効力感」が挙げられます。あまり聞きなれない言葉ですが、「自己肯定感」に近いイメージです。

自己肯定感との違いは、自己肯定感がその時々の状況によって上下するのに対して、自己効力感とは、自分のなかで評価を前向きに感じることです。

あくまでも自分自身の内側から湧いてくる力で、他人がどう思うかとは関係なく、常に心のなかに強く存在する意識です。

このため、自己効力感が高まると、自分ができると思う状況にあればその仕事に貢献したくなり、「私に任せてください」と、自発的に手が挙がるようになります。

上司は、部下にこうした意識を芽生えさせるよう、ポジティブな評価と公平なフィードバックを行うことで、部下の自己効力感を自然に育成することができます。

自己重要感:仲間との達成感

自己効力感と似た言葉に「自己重要感」があり、こちらも部下を育てる際の重要なポイントとなります。

自己重要感とは、組織の中にあって自分が重要な役割を担っていると意識できることです。

チームメンバーがそれぞれに自己重要感を持っていれば、何か問題が起きた場合でも大きな力を発揮します。

「この分野は自分がが得意なので、ぜひ任せてください」など、自分の持つ強みを活用してチームに貢献するため、自発的に行動できるようになります。

チーム全体を統括する上司側は、部下それぞれに組織の一員としての意識を高めてもらうため、全体ミーティングを積極的に行い、それぞれが取組んでいる仕事をオープン化することが大切です。

部下へ3パターンで仕事を振り分ける

チーム内での部下のレベルはそれぞれです。部下を成長させるためには、部下に対して仕事を3つのパターン(=ステップ)に振り分けていきます。

パターン1:平坦な道での経験

習熟度が低い部下には、仕事の「質」よりも「量」をこなすことをテーマとして与えます。

例えれば、歩きやすい平坦な道で数多くの経験を積むイメージです。目の前の多くの仕事にがむしゃらに取組むうちに、仕事の本質やコツ、また法則などを自然と会得し、ノウハウを蓄積できます。

こうした仕事を通じて、基礎的な業務推進力が身につくので、効率的な仕事の方法が経験を通じて理解でき、成功事例も累積して自信につながっていきます。

パターン2:坂道での負荷

仕事の量がこなせたら、次に質へとステップアップします。 質を高めるためには、ある程度の負荷が必要となります。

例えば、難易度がやや高いクライアント顧客への対応や、経験のないプレゼンテーションにおける説明役、またリモート会議の進行役など、未経験の業務を担当することで、負荷がかかった状態で仕事に向かうことになります。

こうした歩きにくい坂道を進んでいくうちに、応用力やイレギュラー対応力などが次第に身について、仕事の質が高まっていきます。

パターン3:困難な道で鍛える

量も質もこなせるようになったら、更に難易度の高い部下の育成方法に移ります。この段階では坂道どころか、整備されていない道なき道や、落とし穴があちこちにある悪路を歩いていきます。

例えば、商品やサービスが顧客に対する期待通りにいかず、トラブルとなった場合、上司が対応するのではなく、敢えて成長を期待する部下に対応を任せます。

この局面が管理職としての踏ん張りどころです。部下を成長させるため、部下を見守りつつ、自分の頭で考えさせることが大切です。

部下の取り組みをチームメンバーに共有

仕事を3つのパターンに仕分けた後は、それぞれの習熟度に合わせて、部下に仕事をアサインしていきます。

チームメンバーは、それぞれの動きを共有することで、仲間を応援する気持ちや、また尊敬する思い、さらに、難しい局面を乗り越えようとする気力など、ポジティブな意識が自然と湧いてきます。

意識の共有化を通じて、チームの一員としての意識が強くなり、自己重要感も高まっていきます。

まとめ

テレワークの環境下では、各メンバーとの1対1の面談に加えて、全体ミーティングを積極的に行うことで、他のメンバーがどんな仕事をしているか、また、それぞれの業務について共有することが非常に重要です。

自分が組織にとってどれほど重要な人材であるのか、自他ともに認め、また認められることが非常に重要で、部下たちもまたこうしたうなコミュニケーションを求めています。

部下の「自己効力感」と「自己重要感」を高め、上司もマネジメント能力を伸ばしていくことが、チーム全体を一層成長させることになります。

参照:DIAMOND online