三菱UFJ、新卒で年収1000万円も。「ジョブ型雇用」は成功するか

働き方改革やニューノーマルの進展とともに、日本でも従来の「メンバーシップ型雇用」から、それぞれのポストや処遇ごとに必要な能力や報酬などを定めて、人材を適材適所に配置する「ジョブ型雇用」が拡大しています。

メガバンクの一角でもある三菱UFJ銀行は、来年春に入行する新卒社員から、それぞれの能力によって給与水準に差をつける制度を導入します。

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最初から専門部署へ配属

同行では、今回ジョブ型雇用の枠組みを導入した背景について、新卒採用時から専門性の高い人材の確保が急務だと語っています。

これまで同行では、新卒初任給は一律30万円程度としていましたが、IT企業や外資系企業が好待遇で優秀な人材の獲得を行っており、従来の対応では高い専門スキルを持つ優秀な人材を採用できないと判断しました。

新卒採用のうち、1割程度にあたる約40人を専門人材として採用し、能力の高い人材に対して新しい給与体系を適用します。専門職の枠は次の4分野で、それぞれに高度な専門的スキルや資格が要求されます。

  • ファイナンシャル・テクノロジー
  • 戦略財務会計
  • システム・デジタル
  • ウェルスマネジメント

新入行社員は通常、各地の支店に配属され、預金業務や融資業務などを担当し、数年にわたって2カ所以上の支店を経験するのが通例ですが、今回、専門職枠で採用された新入行員が支店で勤務するのは、わずか2~6ケ月です。

最優秀の学生が集まるか

これまで、大手メガバンクでは、総合職で採用されたエリート行員でも、ほぼ横並びの評価報酬制度が一般的でした。

複数の支店を経験しながら段階的にキャリアを積み、40~50代でようやく支店長に昇格、そして本店で役員にまで出世できるのごく一部でした。

今回の三菱UFJ銀行の取り組みで、新卒採用1年目から年収1000万円の大台に乗る可能性もあります。この取り組みに反応して、即戦力となり得る学生が本当に集まるのでしょうか。

ライバルとなる、破格の好待遇を提示するような外資系企業など他社と比較した場合、メガバンクの報酬は魅力的に感じるのか、また、初任給から差が出ることで、同じ総合職で採用された同期行員のモチベーションへの影響など、検証すべき課題も多いようです。

まとめ

今回の同行の取り組みは、まだまだ未知数の部分も少なくありませんが、経済環境の大幅な変化などもあり、これまでのような終身雇用を前提とする日本型雇用の崩壊と、新たな対策を象徴する取り組みとして注目されます。

参照:SankeiBiz