新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークや在宅勤務が推奨されていますが、同じ労働者でも、非正規労働者に対してテレワークが認められない事例が後を絶たないようです。
テレワークも正社員優遇?
コロナ禍が長期化する状況下で、政府は企業に対して出勤者を7割削減するよう要請していますが、内閣府の調査によれば、非正規社員のテレワーク経験は正社員の半分以下となっており、所得の少ない人ほどテレワークの割合が低いというデータもあります。
正規・非正規の雇用形態の違いによる所得格差が、命の格差にまでつながる危険が指摘されています。
労働組合への怒りの訴えも
こうした状況は、労働組合の大手である総合サポートユニオンに多数の訴えとして報告されています。
ある女性派遣社員は、正社員が一部在宅勤務をしている一方、派遣先は非正規にテレワークを認めておらず、緊急事態宣言中も出社している状況を訴えています。
また、政府系金融機関で働く40代の女性契約社員も、正社員は在宅を認められているのに、非正規社員は原則として基礎疾患があるなど重症化リスクの高い人だけが対象で、待遇で差別されるので死ぬ確率まで高くなる、まさに階級社会だと怒っています。
提訴も
こうした対応を疑われたある金融機関は、雇用形態ではなく業務内容などで判断しており、非正規職員でも在宅勤務しているケースはあると弁明しました。
これに対して、同ユニオンには、非正規社員からテレワーク格差に関する相談が80件以上も寄せられています。
事実、非正規社員にテレワークを認めない企業は、その理由として、機密漏えいや備品紛失の恐れなどを理由に挙げる場合が多いようです。
在宅勤務を求めたら雇い止めされた40代の女性派遣社員は、テレワーク差別でつらい目に遭っている非正規は多いので、状況を是正したいとして、雇用の継続を求めて派遣元と派遣先を提訴しました。
非正規格差のデータ
内閣府が昨年末に実施した調査によれば、年収300万円未満でテレワークをしている人の割合は12%だったのに対し、年収1000万円以上の場合は51%となっています。
雇用形態別の調査をみても、テレワーク経験があると回答した人の41%が正規社員で、非正規は18%でした。
非正規社員ははもともと接客業などの現場業務が多く、非正規だからという理由でテレワークさせてもらえない人が多数いる状況があります。
専門家も是正を要求
こうした状況を受け、厚生労働省はテレワーク導入時の注意点をまとめた指針を出し、雇用形態で差別しないように促していますが、連合はじめ、各地の労組への相談は今も多数あるようです。
専門家は、テレワーク可能な業務に就いていても非正規だけに認めないことは不合理な待遇差として法律違反の可能性があり、労組を通じ会社に是正させることが重要と強調しています。
参照:東京新聞