テレワークに必要な「段取り術」、くまモン・中川政七商店を手掛けた水野学氏のこだわりは

上司や同僚が近くにいないテレワーク。真面目に働いているつもりでも、うっかり忘れている仕事があったり、締め切りを過ぎてしまったり。仕事の「段取り」の重要性を改めて痛感する人も多いのではないでしょうか。『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(ダイヤモンド社)の著者・水野学氏はくまモンや中川政七商店、茅乃舎など多くのプロジェクトを手掛けたクリエティブ・ディレクター。忙しい水野氏がどのように「段取り」をしているのか、その秘訣を探ります。

1. 仕事の基本「段取り」ができないと何が起こるのか

様々な仕事を並行して進行する際、皆さんはどのようにタスク管理を行なっていますか?どんなに能力が高い人でも、締切に遅れたり効率が悪かったりするとクライアントはもちろん周囲の信頼を損ないかねません。自分自身も「あれもやらなきゃ」「これはまだできていない」と常にストレスを感じる状況に陥ってしまいます。

また、昨今は「働き方改革」の影響で残業が減り、限られた時間内で生産性の高い仕事を求められるようになりました。仕事の基本である「段取り」は、今の時代により重要性を増してきているのです。

2. 「段取り」で仕事の生産性を高める3つのポイント

『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(ダイヤモンド社)の著者である水野学氏。くまモンや中川政七商店、茅乃舎、Oisix、相鉄グループなど様々なプロジェクトのクリエイティブ・ディレクターを務めています。プロジェクト全体の方向性を決め納品までの指揮をとるクリエイティブ・ディレクターにとって、「段取り」は欠かせない仕事の一つ。ここでは著書の中で水野氏が紹介した中から、3つのポイントをご紹介します。

2-1. 想定外のトラブルをあらかじめ想定する

せっかくスケジュールを組んでいたのに、クライアントからの急な電話や上司から急きょ振られた仕事が入り間に合わなくなった。そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。水野氏はこういった想定外のトラブルも、あらかじめ想定しておくことができると言います。

「突然、上司に何かを頼まれることは日常茶飯事。指示をコロコロ変えるリーダーも、納期ギリギリに相談を持ちかけてくるクライアントも、どんな業界にもたくさんいます。それらは「確実に起きること」なのです。どんなトラブルやアクシデントが起きるか、そのパターンも含めて把握しておくのも、段取りのうちです。」水野学『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(ダイヤモンド社)

仕事は様々な関係者がいて成り立っています。だからこそ、想定外のトラブルはつきもの。トラブルに対応する時間をあらかじめ用意しておけば、振り回されて締め切りに間に合わなかったり、それをストレスに感じたりすることもなくなります。

2-2. 段取りを3時間毎に見直す

状況は常に変化するものです。特に昨今では、刻々とあらゆる情勢が変化していきます。一度段取りを決めたからといって満足せず、定期的に段取りを見直すことが重要です。水野氏は3時間毎に段取りを見直すのだそう。もし新しい仕事が来たりトラブルが発生したりしても、常に段取りを見直しておけば最後に「間に合わない!」という最悪の事態に直面せずに済みますね。

2-3. ボールを持つ時間を短くする

よく1人で仕事(ボール)を抱え込んでしまう人がいます。完璧な状態で見せたいと意気込んでしまったり、外部の人への発注を億劫に感じてしまったり。しかし1人で悩み続けても仕事は進みません。分かってはいるけれど、ついつい後回しにしてしまう、という人も多いかも知れません。水野氏はボールを持つ時間を縮めるコツをこのように述べています。

「コツは、完成度の低い状態でいいからどんどん仕上げていくということ。完璧を求めずに、ある程度かたちにしたらとにかく投げる。」(同書)

逆の立場になり、頼まれる側として考えるとどうでしょうか。「もっと早く相談してくれたら色々と工夫できたのに」と思うことはありませんか?早めに相談すると具体的に話が詰めやすくなるのです。仕事はチームでするもの。自分が完璧にこなそうと気負いすぎる必要はありません。

3. 自分に合うツールを活用して上手な「段取り」を

自分1人で抱え込んでずるずると仕事が遅くなったり、トラブルに惑わされたりする時間を減らすことで仕事ストレスも軽減され、仕事のアイデアも出やすくなります。GoogleカレンダーやTo Doリストのアプリ、チームハックのようなタスク管理ツールを活用するのもおすすめ。紙に書き出すことで思考が整理されることもあります。ぜひ自分に合った上手な「段取り」を行い、生産性の高い仕事を実現しましょう。