声かけ一つで部下のやる気UP、米スポーツ界のロッカールームで生まれたペップトーク

仕事にやる気を見せない部下に日々頭を悩ませる上司や経営者も多いのではないでしょうか。ミスを指摘したりやる気を鼓舞しようと叱責したりしたところパワハラを訴えて退職する、といったケースも珍しくありません。「ゆとり世代だから」「時代の流れだから」と諦めることは簡単ですが、本当に「ゆとり世代」が原因でしょうか。部下1人1人と向き合い、やる気を引き出すコツを「ペップトーク」から学んでみませんか?

1. アメリカのスポーツ界で生まれた「ペップトーク」

「ペップトーク」とは、アメリカのプロスポーツ界で生まれたショートスピーチのこと。バスケやアメリカンフットボールの試合前に、ロッカールームで監督やコーチが選手を鼓舞するために使われていました。緊張した場面でも選手に実力を発揮させる「ペップトーク」は、今やビジネスや学校、家庭でも応用されています。日本では2017年放送のドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)で教師が生徒のやる気を引き出すために使用したシーンが放送され、注目を集めました。

2. ペップトークを成功させる4つのポイント

それでは、「ペップトーク」とはどのように実施すれば良いのでしょうか。占部正尚氏の『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』(日本実業出版社)によれば、そのポイントは4つあります。

2-1. 事実を受け入れる

人はつい自分の主観に基づいて判断したり、理想を求めすぎてないものねだりをしたりしてしまいます。しかしまずは現状を受け入れ、その中でベストを尽くす方法を探ることが重要です。競合に負けていたり、部下のミスがなかなか減らなかったりしても、まずはその事実を受け入れてみましょう。

2-2. 捉え方をポジティブに変換する

次に行うのが、捉え方をポジティブな方向に変換するということ。事実は1つでも、解釈や捉え方は複数存在するものです。部下の仕事が遅いのは、1つ1つの作業を丁寧に行っているからかもしれません。そこに気づかず「早く終わらせなさい」と言い続けても、仕事が早くなるどころかミスを多発してしまう可能性もあります。

2-3. して欲しいことを肯定的に伝える

『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』(日本実業出版社)の著者・占部氏によれば、人間は否定的な言葉に弱い上、最初に入ってきた情報に左右されるという特徴があるのだそう。そのため、「ミスをするな」と言われると「ミスをする」という情報が強くインプットされ、ますますミスに繋がってしまうのです。して欲しいことを伝えるときは、「落ち着いてやろう」など肯定的な言葉を選ぶ必要があります。

2-4. 背中を押す一言をかける

4つ目のポイントは、応援している気持ちがわかる一言をかけること。「頑張れ!」「君ならできる!」といった声援だけでなく、「何かあったらフォローする」など安心させる声がけも効果的です。以上の4つのポイントを押さえたペップトークがこちら。

「プレゼン会で競合他社が連勝している(①事実の受け入れ)。話し方がうまいのではなく、顧客の真のニーズを把握できているからだ(②とらえかた変換)。我が社も原点に返って顧客の声を真剣に聴こう(③してほしい変換)。今度こそ、勝つぞ!(④背中のひと押し)。」占部正尚『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』(日本実業出版社)

「なんで勝てないんだ。次はミスするな」といった叱責よりよっぽど部下のやる気を引き出せそうですね。ビジネスの状況に応じて、4つのうちどれかのポイントのみを使用することもできます。まずは1つずつからでも実践してみましょう。

3. やる気が出ない部下にネガティブ・ワードをかけても逆効果

部下がなかなかやる気を出してくれないとき。まずはその原因を探ってみます。原因として多いと占部氏が指摘するのが、上司の指示が分かりにくい場合と上司にやる気が失せる言葉をかけられている場合です。例えば「次は失敗するなよ」といったネガティブ・ワードを気づかないうちに発していませんか?

ペップトークのポイントとしてご紹介した通り、否定的な表現をしていると部下は反発心を抱いたり逆にミスをしてしまったりと逆効果です。その上、どんな点に気をつければ失敗しないのかが分からず、部下の不安は増すばかりです。肯定的かつ具体的な言葉で思いを伝える。「ペップトーク」のポイントを押さえることで、短い言葉でも部下のやる気を引き出すことが可能になります。

記事監修:染谷祐吏(yuri someya)
一部上場企業のデジタルマ―ケティング責任者としてデジタルトランスフォーメーション推進や新規事業開発に従事。業務支援コンサル、ベンチャー企業の戦略人事を経て2019年にデジタル人材特化型のエージェントとして株式会社MOCHIを設立。テレワーク×DXの課題解決として「リモフリ」を立ち上げ。